タイプ・ワン・エナジー、初の現実的かつ統合的な核融合発電所設計基盤を発表
タイプ・ワン・エナジー、初の現実的かつ統合的な核融合発電所設計基盤を発表
テネシー州、ノックスビル--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- タイプ・ワン・エナジーは、実用的な核融合パイロット発電所のための高めの設計マージンを備えた、世界初となる包括的かつ自己整合的で堅固な物理基盤を発表しました。この物理基盤は、権威ある学術誌「Journal of Plasma Physics(ジャーナル・オブ・プラズマ・フィジックス、JPP)」の特別号に掲載された、7本の査読付き科学論文として公開されています。これらの論文は、タイプ・ワン・エナジーが米国のテネシー流域開発公社(TVA)向けに開発を進めている、同社初のステラレーター型核融合発電所プロジェクト「Infinity Two(インフィニティー・ツー)」の設計基盤となります。
このInfinity Two核融合パイロット発電所の物理設計基盤は、実際の発電所の運用経験を活用しながら、プラズマ性能、発電所の立ち上げ、建設の物流、信頼性、経済性といった競合する要件の複雑な関係を初めて現実的に考慮したものです。この同発電所の基準物理ソリューションは、ドイツのW7-X科学実験機で成功裏に実証されたように、モジュール型超伝導磁石を用いて高度に最適化されたステラレーター核融合技術が本来持つ、優れた運転特性を活用しています。
「当社がエネルギー事業者と将来的な核融合発電所プロジェクトに関する合意を結んだ初の民間核融合企業となれたのは、私たちの設計が現実的な根拠を基盤としているからです」と、タイプ・ワン・エナジーの最高経営責任者(CEO)であるクリストファー・モウリーは述べました。「Infinity Twoの物理基盤は、電力網における信頼性の高い発電という過酷な環境で実用化し、性能を発揮するために必要な要素に関する知見に基づいています。私たちの組織は、これが単なるサイエンス・プロジェクトの設計ではないということを理解しています。」
現代ステラレーター研究の第一人者として広く知られるクリス・ヘグナ氏の指導のもと、タイプ・ワン・エナジーは高精度の計算プラズマ物理解析を実施し、Infinity Two発電所の機能および性能要件を満たす上でのリスクを大幅に低減しました。この独自かつ画期的な成果は、タイプ・ワン・エナジーのプラズマ物理およびステラレーター工学チームが主導するグローバルな開発プログラムの成果であり、世界各国の国立研究所や大学の科学者たちによる幅広い協力によって実現されました。同社は、オークリッジ国立研究所(ORNL)のエクサスケール・スーパーコンピューター「フロンティア」をはじめとする、米国エネルギー省の最高性能スーパーコンピューターを含む複数の高性能計算設備を活用し、ステラレーターの物理シミュレーションを実施しました。
「私たちは2年前にこの野心的な核融合商用化というマイルストーンに取り組むことを決意し、今回、それを実現することができました」と、タイプ・ワン・エナジーのチーフ・サイエンス&エンジニアリング・オフィサーであるジョン・カニックは述べました。「私たちのチームは、高性能な計算資源へのアクセスを活用することで、Infinity Twoステラレーターの設計に役立つプラズマ物理の深い知見を効率的に導き出すことができました。これにより、タイプ・ワン・エナジーのチームは、従来の考え方や限られたモデリング能力に基づく概念を大きく超えた、現実的かつ統合的なステラレーター設計を実証することを可能にしました。」
一貫性と高い信頼性を持つInfinity Two の物理ソリューションにより、重水素・三重水素(D-T)燃料を用いた燃焼プラズマ型ステラレーターが実現され、800メガワットの核融合出力を生み出し、定格で350メガワットの電力を送電網に供給します。この装置は、広範な運転条件下でも強靭で安定な挙動を示す核融合プラズマ、乱流輸送による非常に少ない熱損失、そしてステラレーターの第一壁への許容範囲内の直接エネルギー損失という特徴を備えています。Infinity Twoステラレーターには、ヘリウム灰を排出するための十分なサイズのアイランド・ダイバータと、適切な遮蔽およびトリチウム増殖を実現するブランケットの両方を収容できる十分なスペースが確保されています。タイプ・ワン・エナジーは、この重要な物理ソリューションがInfinity Two核融合パイロット発電所の優れた基盤となるステラレーター構成を提供できることを確信しています。
「今回の『JPP』特別号に掲載された論文群は、ステラレーター型の核融合炉実現に向けた重要な一歩を示すものです。何十年にもわたる実験と理論研究、特にその多くがJPPに掲載されてきた成果のおかげで、ステラレーター型発電所の物理基盤をかなり詳細に構築することが可能になりました」と、マックス・プランクプラズマ物理研究所のステラレーター理論部門責任者であるペール・ヘランダー氏は述べました。「JPPとしても、タイプ・ワン・エナジーによるこの一連の論文を掲載できたことを非常に嬉しく思っています。これらの論文は、この分野における精度と信頼性の新たな基準を打ち立てるものとなっています。」
核融合発電所の商業化を成功させるうえで重要となるこのステラレーター構成により、タイプ・ワン・エナジーは、良好な設備稼働率(CF)と、それに伴う均等化発電コスト(LCOE)を可能にする保守ソリューションの構築に成功しています。またこの構成は、Infinity Two建設時に必要である、妥当な金利抜き建設コスト(ONC:オーバーナイトコスト)を実現するために不可欠な、部品製造や発電所建設方法に関する有利な規制要件にも対応しています。
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