オムディア、中国本土のクラウドインフラ市場、2025年第2四半期に成長率20%超へ回復
オムディア、中国本土のクラウドインフラ市場、2025年第2四半期に成長率20%超へ回復
ロンドン--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- 調査会社オムディアによると、中国本土のクラウド・インフラサービス市場は2025年第2・四半期に124億ドルに達し、前年同期比21%増となりました。これは、20%超の成長率を記録するのは2024年初頭以来であり、市場は回復基調を示しています。そしてAIが引き続き主な成長エンジンでした。AI基盤モデルの機能が進化しツールチェーンが成熟し続けるなか、企業の需要は、単純なモデルの呼び出しにとどまらず、業種特化型モデルやAIエージェント型アプリケーションの初期的な検討・活用など、ビジネスとより密接に結び付いたユースケースへとシフトしつつあります。クラウド・プロバイダーは引き続きAI主導の需要拡大を見込んでおり、AIインフラへの設備投資を加速しています。2025年第2・四半期の市場シェアは、アリババクラウドが34%、ファーウェイクラウドが17%、テンセントクラウドが10%でした。
中国本土のクラウドインフラサービス市場は、2025年第2・四半期に前年同期比20%超の成長となり、AIを中心とした顧客需要の大幅な伸びが寄与しました。基盤モデルの進化が続く中、企業はこれらの高度化した機能を活用し、新たなAIネイティブアプリケーションの開発を進めています。また、一部の企業では、従来のCPU主体のロジック処理やデータワークフローの一部をモデル推論エンジンへ移行し、柔軟性と自動化の向上を図り始めています。
「基盤モデルプロバイダーによる急速なイテレーションに加えて、自社の独自データを用いてカスタムモデルをトレーニングする企業からの需要も高まっています」と、オムディアのシニアディレクターであるレイチェル・ブリンドリーは述べています。「AIトランスフォーメーションのこの段階においては、短期的な利益率を守ることよりも、長期的なケイパビリティ構築に継続的に投資することの方が、より大きな価値を生み出します。中国のハイパースケールクラウドプロバイダーは、世界的な投資トレンドと歩調を合わせながら、クラウドおよびAIインフラへのコミットメントを加速させています。」
アリババクラウドの第2・四半期における設備投資は386億元(54億ドル)となり、同社は今後3年間で3,800億元(529億ドル)を投じ、クラウドおよびAIインフラの拡充を計画しています。テンセントクラウドの設備投資は、GPUやサーバーの調達増加を主因として前年同期比149%増の179億元(25億ドル)となりました。
同時に、市場がAIの製品化に向けたより成熟した道筋を模索する中で、アプリケーションのパラダイムは、単純な対話型インターフェースから、行動実行が可能なインテリジェント・エージェントへと急速に移行しています。スケーラブルなエンドツーエンドのエージェント提供を実現するため、クラウドベンダーはAIプラットフォームの構築を加速しており、アリババクラウドの「Agent Bay」、ファーウェイクラウドの「Versatile」、テンセントクラウドの「Agent Development Platform 3.0」などがその例として挙げられます。
「AIエージェントは、基盤モデルが持つ機能を実質的に拡張する重要な存在として台頭しつつあります」と、オムディアのシニアアナリストであるイー・チャンは述べています。「導入はまだ初期段階にありますが、エージェント・プラットフォームの選択肢が広がることで、エコシステムのパートナーは、単なるモデル消費にとどまらず、ワークフローの自動化やタスク志向のアプリケーション開発に参加する方向へと、その役割を広げつつあります。」
2025年第2・四半期には、パートナー主導によるクラウド収益が市場全体の25%を占めました。エコシステム連携がAIの能力を事業価値へと転換する重要な推進力となることで、この比率は今後、拡大していく可能性があります。
アリババクラウドは、中国のクラウドインフラ市場において34%のシェアでリーダーの地位を維持し、前年同期比の成長率も26%へと強まりました。AI関連収益は8四半期連続で3桁成長を記録し、中核となるインフラサービス全体の回復を後押ししています。7月にはQwen3ファミリー全体にわたる包括的なアップグレードを実施し、8月にはマルチモーダル機能やツールチェーンの強化を一斉に進めたのに続き、9月にはフラッグシップ基盤モデル「Qwen3-Max」を発表しました。1兆を超えるパラメータを備え、複雑な解析やエージェント駆動型ワークロード向けに特化して設計されたQwen3-Maxは、同社の先端モデルポートフォリオとエンタープライズ規模のAI活用を支える能力の双方において、大きな前進を示すものです。また、同社はAIエージェントが実際の運用タスクを実行できるようにするクラウドベースの実行環境とツールセット「Agent Bay」も立ち上げました。国際展開としては、ブラジル、フランス、オランダに新たなリージョンを設置する計画を発表しています。
ファーウェイクラウドは、2025年第2・四半期の中国クラウドインフラ市場で第2位の地位を維持し、前年同期比17%の収益成長と17%の市場シェアにより安定したパフォーマンスを示しました。CloudMatrixアーキテクチャは、推論レベルのコンピューティングとコストを最適化するAI Token ServiceやEMSなどの新サービスに支えられ、384基から8,192基へとGPU規模を拡張しました。9月には、AI能力へのフルスタック投資を背景に、製造、金融、公共部門、自動車などの分野で、業界特化型のAI活用と基盤インフラの提供をさらに推進しました。開発者のAIネイティブアプリケーション開発能力を強化するため、ファーウェイクラウドは企業向けエージェントプラットフォームであるModelArts Versatileを強化し、ライフサイクル全体のサポートやMCPツールとのシームレスな統合を実現しました。同社によると、これらの統合により、エージェント開発の効率は最大40%向上し、デプロイメントコストは約30%削減できるとしています。
テンセントクラウドは、2025年第2・四半期の中国クラウドインフラ市場で10%のシェアを獲得し、新たなワークロードを支えるGPUおよびAI関連APIトークンの利用拡大を背景に、売上成長のペースを加速させました。8月には、パラメータ数0.5B、1.8B、4B、7Bの4つのコンパクトな「Hunyuan」モデルを発表し、GitHubやHuggingFaceなどのプラットフォーム上で完全なオープンソースとして公開するとともに、多様なコンピューティング環境への展開を想定して設計しました。9月には、モデルの呼び出しからエージェントのフルチェーン開発までをカバーするエンドツーエンドのアップグレード版「Agent Development Platform 3.0(ADP 3.0)」をリリースし、推論、ナレッジ統合、ワークフロー、マルチエージェント協働、エンタープライズグレードの運用といった機能を強化しました。国際的には、中東で初となるデータセンターをサウジアラビアに建設するために1億5,000万米ドルを投資する計画を発表すると同時に、大阪に3つ目のデータセンターを開設する方針も明らかにしました。
オムディアでは、クラウド・インフラサービス を、サードパーティ・プロバイダーがホスティングし、インターネットを通じてユーザーに提供するベアメタル・アズ・ア・サービス(BMaaS)、インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス(IaaS)、プラットフォーム・アズ・ア・サービス(PaaS)、コンテナ・アズ・ア・サービス(CaaS)、およびサーバーレスの総計として定義しています。
オムディアについて
オムディアは、インフォーマ・テックターゲット(Nasdaq: TTGT)の一部であり、テクノロジー分野に特化したリサーチおよびアドバイザリー・グループです。業界リーダーとの対話や数十万件におよぶデータポイントに基づいたテクノロジー市場に関する深い知見により、同社の市場インテリジェンスは、顧客にとって戦略的な強みとなっています。オムディアは、研究開発(R&D)から投資収益(ROI)まで、最も有望な機会を見極め、業界の進化を後押ししています。
本記者発表文の公式バージョンはオリジナル言語版です。翻訳言語版は、読者の便宜を図る目的で提供されたものであり、法的効力を持ちません。翻訳言語版を資料としてご利用になる際には、法的効力を有する唯一のバージョンであるオリジナル言語版と照らし合わせて頂くようお願い致します。
Contacts
Fasiha Khan: fasiha.khan@omdia.com
Eric Thoo: eric.thoo@omdia.com

