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カナメ・キャピタル、プロトコーポレーションの創業者による駆け込みMBOに対する公開質問状を送付

東京--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- カナメ・キャピタル(以下「弊社」)は、2022年9月以来株式会社プロトコーポレーション(以下「プロトコーポレーション」または「当社」)に投資を行い、現在8%超の株式を保有する第2位の株主です。弊社は、本年2月4日にプロトコーポレーションが公表をした、創業者の横山博一氏(以下「横山会長」)によるMBO(以下「本件MBO」)に対して強い懸念を持っています。

弊社は本件MBOが公表された後、プロトコーポレーション取締役会に対して、企業価値を最大化するベストオーナーとして対抗提案者を探し、そのためにデュー・デリジェンスを受け入れる体制を確保することを求めました。しかし、取締役会は「可能性を否定しない」などと消極的な姿勢を示すに留まっています。そこで弊社は、弊社の持つ懸念を公にし、他の少数株主や、従業員・取引先などのステークホルダーとも共有することが企業価値の保全に資すると判断しました。

弊社はプロトコーポレーションが有する国内中古車業界におけるプラットフォーム事業の競争優位性に基づけば、現在の収益力に基づいても上場企業として3,778円の株式価値を実現することができると考えています。これは本件MBO価格の2,100円よりも79.9%高い水準です。本件MBOは発表直前の終値に対して67.87%のプレミアムが付されているように見えますが、実のところ株価は昨年10月に発覚した当社元従業員による架空取引のため2割以上下落していたため、実質的には4割程度のプレミアムに過ぎません。また本件MBO価格のEV/EBITDA倍率は5~6倍程度なので、国内類似業種が14.5倍、海外同業他社が16倍のEV/EBITDA倍率であることに鑑みると、当社プラットフォーム事業を著しく過小評価しています。

そもそも、弊社は今日まで当社の株価が割安に放置されてきたのは、横山会長による公私混同のために財務規律が弛緩し、また創業期からの古い企業体質を残していることから不祥事が後を絶たないことにあると考えています。横山会長は本業であるプラットフォーム事業を成長させるよりも、金券ショップ、プロバスケットボールチーム、観光系メディアなどシナジー効果の薄い買収を繰り返してきました。更にはトマト農園、いちご農園、ハンバーガーショップなど、個人の趣味としか思えない事業にまで手を広げています。これは創業者による公私混同と言うほかなく、そのために当社が保有するネットキャッシュ約200億円の価値や当社が将来稼ぎ出すキャッシュフローの価値は市場で著しく割り引かれています。

弊社ではこうした事業ポートフォリオを見直し、自動車ローンや個人間オークションなど本業における新たな事業戦略を策定するために、昨年6月以来「戦略検討委員会」の設置を求めておりました。しかし、取締役会は上場企業としての企業価値最大化の余地を検討することなく、創業者に忖度してMBOに賛同を表明するに至りました。これは横山会長が自身の経営責任や失敗を覆い隠すための「逃げ」の市場退出だと言えます。

2019年6月に経済産業省が示した「公正なM&Aの在り方に関する指針」はMBOにおける公正性担保措置のベスト・プラクティスを示していますが、本件MBOのプロセスは同指針に沿うものではなく、創業者が38%もの株式を事前に有していることを背景にした極めて強引な進め方によるものです。前述の通り、本件においては元従業員の架空取引が発覚して株価が2割以上下落した直後にMBOの検討が開始され、わずか2ヶ月後に公表されました。この間にマーケット・チェックはなされておらず、特別委員会独自のアドバイザー選任や、フェアネス・オピニオンの取得もなされていません。また、東京証券取引所では今春にも企業行動規範の改訂によってMBOに関する規制を強化する予定であることが報道されているところ、本件MBOは今後の負担の増加を忌避する「駆け込み」にも見えます。

さらに、本件MBOはプライベート・エクイティなどのパートナーがいない、創業家による純粋なMBOです。これまで株価の低迷を招いてきた創業経営者が非公開化を行い果たして企業価値を高められるのか、弊社は株主として懸念を持つとともに、従業員や取引先への影響を憂慮しています。当社には横山会長の「鶴の一声」で物事が決まる悪しき習慣があると見られるところ、本件MBOはその独断専横を助長させるものです。

今回のMBOで利益を得るのは株式を安値で買い上げ、負債を負って相続税を圧縮し、株主からの非難を逃れることができる横山会長だけです。プロトコーポレーションの取締役会は創業者に忖度してMBOに賛同するのではなく、あらゆるステークホルダーにとってベストなオーナーを積極的に探すべきです。

弊社は、ステークホルダーの皆様からの働きかけを求めています。弊社に寄せていただける情報があればcontact@kanamecapital.comまでご連絡ください(匿名可)。

公開質問状は日本語・英語それぞれで作成しており、日本語が英語に優先します。

質問状の項目は以下の通りです。

序文:本件MBOへの懸念
①MBOの合理性について
(1)高齢創業者がMBOを行う合理性
(2)戦略検討委員会の設置よりもMBOを選ぶ理由
②手続きの公正性について
(3)梶浦取締役の独立性
(4)マーケット・チェックを行っていない理由
(5)対抗提案を検討する姿勢
(6)社外取締役との報酬合意
(7)MBOを急ぐ理由
③価格の適正性について
(8)サム・オブ・ザ・パーツ分析
結び:取締役会への要望

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